HOSONO HOUSEは琴線に触れる

アルバム批評と思い出

世の中には気分を上げるアルバムと落ち着かせるアルバムがあると思っている。HOSONO HOUSEは完全に後者だ。しっぽり聴くのがいい。僕は旅行帰りに聴いて余韻に浸ることが多い。

曲は昔の音楽らしく、どこか昭和の日本を想い起こさせる瞬間がいくつもある。田舎道を歩きながら聴きたいものだ。細野晴臣の落ち着いた低い声も一役買っているだろう。

HOSONO HOUSE然り、はっぴいえんどもだが最新曲をメインで聴く人は聴きにくいと思われる。良くも悪くも古臭いので聴く人は選ぶかもしれない。僕もビートルズを聴いてなかったらこのアルバムは聴いてないと思う。

僕はこのアルバムのA面がとにかく好きだ。
テンポよく、しかし緩急のある曲順で続く5曲は天晴れだ。この感じは洋楽には出せない。カントリーは似ているが少し違う気がする。

個人的ハイライトはA面最後の「冬越え」だ。それまでの4曲は比較的ゆったりとした曲なのだが、冬越えはミドルテンポになる。細野晴臣のボーカルも少し張るようにして歌っていて実に気持ちいい。曲自体もお手本通りで大サビで賑やかになる。仕事中に口ずさむ事が結構ある。

もう1曲触れておこう。「僕は一寸」もお気に入りだ。一寸はちょっとと読む。
この曲は浸る具合がすごい。聴いてもらったら分かるが昭和の夕方を連想させる。こういった曲を26歳で作れる細野晴臣はさすがだ。僕はなぜかこの曲を聴くといつもクレヨンしんちゃんのオトナ帝国に出てくるひろしの回想シーンを思い浮かべる。

ちなみに僕が持ってるのは2023年発売の50周年記念の再販だ。「HOSONO HOUSEのレコード盤」は持っているがここはやはりオリジナル盤が欲しい。どこかの中古レコード屋のブログで見たのだが、やはりオリジナル盤と再販では音が違うらしい。プレスされた年代で音が違うのはPlease Please Meで経験済みなので間違いないだろう。気になる。

ちょっと前にディスクユニオンで見た時のオリジナル盤は4万円だった。いくら好きとはいえ、4万円はなかなかの値段なので簡単には買えない。難しい所だ。どうしても今新品で買うレコードはデジタル化したものをただレコードで聴いているだけのような気がしてならないので、アナログ録音・アナログ編集された当時のレコード盤で聴きたいものだ。

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